カラーマッチング
「染色にも料理にも大事なレシピ」の項目でも解説したように、カラーマッチングは本番染色前の重要な染色テストです。
通称「ビーカー(試験)」とも呼ばれています。
見本色に染めるにはその染色レサイプが必要です。
そのレサイプの作成方法として、試験的に、5~10gの小さい布片(本番で染める素材と同素材)を何度か試し染めして、本番の見本色に合わせます。
同じ染料でも条件が違えば色も違う
実際の染色では、同一の染料で染まる素材でも生地の種類によって全く染まり方が変わってきます。
また染色条件が違っても仕上がりの色は変わります。
下記は3種類の素材を同一の染料・条件で染色した例です。
上記のとおり、染める素材によって染め上がりの色がまったく変わってきます。
どんな素材でも染色条件が一緒であれば、まったく同じ色に染まる!ということはありません(前処理をしているか、していないかといった点でも、色の仕上がりは変わってきます)。
また、同じ綿ニットでも原料の綿が違うことによって色が変わることもあります。
それらを考えず、いきなり本番の生地で大量に染めると、取り返しがつかないことに! ということになりかねません。
こういったことを防ぐため、本番の生地を染める前にあらかじめ本番生地と同一の素材で試しに染めます。
それがカラーマッチングを行う理由です。
カラーマッチング(ビーカー)の流れ
このように、カラーマッチング(ビーカー)作業は、染色全体の起点となる非常に重要なものです。
そしてその作業は地道である程度、時間、経験と勘が必要です。
現在ではCCM(コンピューター・カラーマッチング・システム)という自動的に染料の調合を考えてくれる高価なシステムもありますが、それでも一回で色が合うことは、なかなか少ないです。
いずれにしても精度を上げるためにはとにかく染色データをコツコツ・几帳面に蓄積することが重要です。
測色について
色はさまざまなカラーシステムによって数値化が可能です。
染色業界では一般的に「L*a*b*表色系」というカラーシステムによって色の管理が行われています。
このシステムを使用すると見本の色と比較してどの程度色が違うのか可視化もでき、「色の誤差は ⊿E 0.5」 までという管理も可能です。
L*a*b*(エルスタエースタビースタ)
⊿E(デルタイー) と読みます。
染料・染色講座 上級編 目次
染色処方とは料理のレシピみたいなもの。
「はかり」・「鍋」など染色に必要な道具について解説しています。
「浴比」・「%」などについて分かりやすく図解で解説しています。
実例だけでなく簡単に計算できる「染料自動計算フォーム」もあります。
微量の染料を誤差なく計量する方法について解説しています。
「折れ線グラフ」ぽい染色処方(レサイプ)の見方を解説しています。
・カラーマッチング
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色の彩度を下げる?混色とは?について図でわかりやすく解説しています。
綿や麻やウール。色の付き方、縮み方。
各種繊維・テキスタイル(織物)の分類一覧表を掲載しています。
染料や染色に関する用語の解説です。
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